Story
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Murakami Jun
村上 淳
(俳優)

ストーリーが無限に広がる
モノづくりの姿勢が大切。

2019.10.01 update
2019.10.01 update

ストーリーのあるものは、
それを手にしてから
新たなストーリーが生まれる。

今回、オーデマ ピゲの新作コレクション「CODE 11.59 by AUDEMARS PIGUET」を初めて手にした俳優の村上淳さん。その感想を、彼らしいウィットに富んだストーリーで、次のように語ってくれた。

「この時計がもつ、ある種の魔法ですよね。たとえば、あくまで架空のエピソードとして聞いてほしいのですが、オーデマ ピゲ 銀座ブティックでこの時計を購入されたご夫婦がいて、その紳士が『今日はこのままつけて帰ります』と言って、木箱を手に店を出るんです。『せっかく銀座に来たし、ちょっとお茶でもしようか』と奥さんを誘い、フルーツパーラーでふたりパフェを食べながら、奥さんがこう言う。「あなた、もう何回時計見てるの?」って。そういう日って、とても素敵じゃないですか?

やっぱりいいモノは、それ自体ができあがるまでのストーリーがしっかりしていて、それを手にしてからも無限のストーリーが広がると思うんです。どんなストーリーが委ねられるかは、そのブランドのもつアイデンティティであったり、姿勢であったり、アティテュードのようなものが重要なのだと思う。この時計は257ものパーツによって組み上げられていると聞きましたが、それをいかに進化させるかというのは、もはやマクロの世界。そんな職人さんたちが考えていることって、永遠ですよ。

僕は人が練りに練って考えた、何か凝縮されたものが入っていることに魅力を感じます。オーデマ ピゲには、そんなクラフツマンシップをこれからも守り続けてほしいですね」

映画も機械式時計も、
いろんな人の思いが
カタチになったもの。

まるで短編映画を観終わったかのような気分にさえさせてくれる、村上さんによる「CODE 11.59 by AUDEMARS PIGUET」のストーリー。それこそ、26年もの間、カメラの前や舞台に立ち続ける、俳優・村上淳ならではの表現方法だといえる。

「10代の頃に、いわゆる“ムラジュン”ってものが誕生して、ちょうどハタチのときに連続ドラマ2本と映画の現場に入りました。モノづくりの観点からすると、テレビも映画も同じ熱量でつくられていましたが、ある意味、両極端なところもあって、映画の現場に入ったら怒号が飛び交っていました。当時はまだトランシーバーというものがなくて、皆が叫んでいるような状態。なんだかずっと怒られているような感覚でしたね。20代の頃はそこまで映画を観ていなかったのですが、スタッフの方々、いわゆる映画人と呼ばれる人たちと飲みに行って、映画の話を聞いているうちに、もしかしたら、役者という仕事は長く続けられるかな、やっぱり役者は続けたいなと思って。それで今にいたる。

やっぱり好きなのでしょうね。映画が、演じるということが。だって、好きじゃなきゃ続かないじゃないですか。大袈裟に聞こえたら照れくさいですが、僕は結局、チーム戦とか総合力、総合芸術というものに常に憧れがあるのです。他人と物事を進める以上、ズレが生じてくるのは仕方がないこと。でも僕はそのズレを楽しめるタイプというか、それをいかに修正していくかが楽しい。この時計だってそう。ケースをつくる人がいて、キャリパーをつくる人がいて、磨きをかける人がいて……。そのすべてが調和をもって凝縮されたものがこの時計であって、皆そんな姿に思いを馳せるわけじゃないですか。そういう部分に関しては、ロマンチストなのです(笑)」

本質を見極める
ということに、
僕はすごく時間をかける。

本質を見極める
ということに、
僕はすごく時間をかける。

そんな村上さんにとって“時間”とは、どのようなものなのだろうか?

「お金ですね。時間=お金、お金=時間です。お金をかければ時間をつくることができますし、時間をかければお金をつくることができる。よく言うじゃないですか、僕くらいの歳になると『時間がないから会えない』って。あれ、嘘ですよ(笑)。時間はつくるものなのです。社会人になった以上。学生時代、宿題や校則、場合によっては親であったり、いろんなものに縛られて、時間を割かなければならなかったのに、あれだけ遊んでいたじゃないですか。けっこうドライな考え方かもしれませんが、僕は“時間”というものをそんなふうに考えています。

あと、与えられた役を演じるにしても、モノを買うにしてもなんでも、“本質を見極める”ということに、僕はすごく時間をかけます。自分の体内時計を信じたい、ということですかね」

単なる足し算ではなく、
掛け算になるようなものに、
携わっていきたい。

最後に、村上さんの“夢”を聞いてみた。

「最近すごく思うのは、足し算や引き算になるようなものに、僕はもう興味がない。自分が何かの発信者でいられるのであれば、それを受け取ったお客さんに喜んでもらえるのはうれしいことですし、足し算が何かのタイミングで45度ずれて掛け算になれば、それは素晴らしいこと。さっきの夫婦のストーリーじゃないですが、このオーデマ ピゲの時計を買うことによって、それが単なるプラスワンではなく、自分の人生が2倍、3倍楽しくなるようなモノづくりの発想、姿勢が大事だと思う。もちろん、映画づくりにおいても。そして、そんなものに携わっていきたいというのが夢ですね。

足し算したものって、やっぱり引き算になってしまいます。皆さん、年に一回は大掃除しますよね? 年末になるとよく断捨離と聞きます。自分の人生にとってかけがえのないもの、掛け算や割り算になったものって、なかなか捨てられない。息子が子供の頃につくった変な粘土細工とか。そういうストーリーがあるモノを大切にしていきたいですね」

村上 淳
(俳優)
Murakami Jun

1973年、大阪府出身。モデル活動を経て、1993年に映画デビュー。主な出演作として『ヘヴンズストーリー』(2010年公開、瀬々敬久監督)、『必死剣鳥刺し』(2010年公開、平山秀幸監督)、『莫逆家族 バクギャクファミーリア』(2012年公開、熊切和嘉監督)、『希望の国』(2012年公開、園子温監督)、『2つ目の窓』(2014年公開、河瀨直美監督)、『友罪』(2018年公開、瀬々敬久監督)、『空母いぶき』(2019年公開、若松節朗監督)などがある。現在、『ある船頭の話』(オダギリジョー監督・脚本)が公開中。また今後は『東京アディオス』(大塚恭司監督)が2019年10/11公開、『ハルカの陶』(末次成人監督)が同年11/30公開、『初恋』(三池崇史監督)、『脳天パラダイス』(山本政志監督)などが2020年に公開予定。

Photo:Yuki Yamamoto
Hair&Make-up:Go Takakusagi
Interview & Text:Satoru Yanagisawa
Edit & Direction:Shigenobu Sasaki(Condé Nast Creative Studio)